낚시꾼들

The Fishermen

ルソーはもともと画家ではなかった

アンリ・ルソーはもともと税関吏でした。

だから人々は彼を「税関吏ルソー」と呼んでいました。

ここで興味深いのは、ルソーが絵を描ける時間がほとんどなかったということです。

なぜなら、平日はずっと仕事をしなければならなかったからです。

今でいえば、昼間は本業をこなし、週末だけ絵を描くという二足のわらじ生活をしていたわけです。

そのためルソーは主に日曜日に絵を描いていました。

しかし当時の税関吏という職業は、今のように安定した恵まれた仕事ではありませんでした。

給与は少なく、業務の負担は非常に重いものでした。

やがてルソーは、ある時こう思うようになります。

「どうせたいして稼げないなら、いっそ自分の好きなことをしよう。」

そして彼は安定した職を手放し、遅い年齢から本格的に画家の道へと踏み出します。

考えてみれば、非常に無謀な選択です。

しかし同時に、本当に好きなことがある人にしかできない決断でもあります。

時間ができると、彼は川辺へ向かった

そしてこの絵は、ルソーが画家を本業とするようになってから描いた作品です。

仕事を辞めた後、彼にはそれまでよりずっと多くの時間が生まれました。

そこで彼は、自分が好きな趣味である釣りに出かけます。

そしてその風景を絵に残します。

絵の中の川辺は、不思議なほど静かです。

水は穏やかで、人々はのんびりと釣りを楽しんでいます。

ひと目見ると、ごく普通の風景画のように見えます。

しかしルソーの絵はいつもそうであるように、じっと見ていると少しずつ奇妙になってきます。

実はこの絵の主役は空にいる

絵のタイトルは《釣り人たち》です。

だから最初は、釣りをしている人々が主役のように見えます。

でも、視線を少し上に向けてみてください。

空に小さな飛行機が一機、浮かんでいます。

実はルソーが本当に描きたかったのは、あの飛行機だったのかもしれません。

当時は、人類が初めて空を飛び始めた時代でした。

学校で習ったライト兄弟が、ちょうど飛行機を作り上げていた時期でした。

そして絵の中の飛行機は、ライト兄弟のうちウィルバー・ライトが製作した初期の飛行機をもとにしています。

車輪のない、非常に原始的な形をしています。

今見ると単純に見えますが、当時の人々にとって飛行機はほとんど衝撃的な存在でした。

人間が本当に空を飛ぶということ。

それはまるで今の私たちがAIやスマートフォンに初めて出会ったときのように、世界の秩序そのものが変わる体験に近いものでした。

だから当時の画家たちは、新しい時代の象徴として飛行機を絵の中にたびたび登場させました。

ルソーもまた、その変化に強く魅了されていたのです。

純粋な絵は、ときに時代を最も正確に映し出す

ルソーの絵はしばしば不器用だと評価されてきました。

遠近法も完璧ではなく、人物もどこかぎこちなく、風景もまた現実とは少し違って見えます。

しかしまさにその純粋さゆえに、彼の絵は不思議と長く記憶に残ります。

まるで子どもが世界を初めて眺めるように、新しい文明と風景をそのまま不思議がる眼差しが感じられるからです。

だからこの絵は、単純な釣りの場面ではありません。

川辺でゆったりと過ごす人々の上を、人類の新しい時代がゆっくりと飛んでいく瞬間に近いのです。

もしかするとルソーは、自分でも気づかないまま、とても重要な場面を描いていたのかもしれません。

何気ない日曜日の空の上で、世界がまったく変わる瞬間を。

同じ画家の他の作品
一日一枚の作品、あなたの一日が少し豊かになります。
アプリで続ける